ハラストメント どのように考えるべき?(男女雇用機会均等法)

  ハラストメント。嫌がらせとでも訳すのでしょうか。
  私達の身近なところで、実はハラストメントが横行している事があります。
  報道などで使われている言葉として、以下のような分類があるようです(俗称とお考えください)。

  「パワハラ」以下の用語は、場所(職業)柄で起こるハラストメントを示していますが、ハラストメントの具体的な
  内容を示すものに、「セクハラ」という言葉があります。特に性的関係に特化したハラストメントを示し、
  パワハラ、アカハラ、ドクハラの具体的内容にも含まれます。

  これらは受け手の感じ取り方により「ハラストメントを受けた!」と感じたり、気にならなかったりと、
  人により違いがあります。

  ハラストメントを与えた側も同様に、「意図的に行った」場合や、「無意識で行った」場合がありますが、
  双方の考え方のズレ、感じ方のズレがトラブルのもとになっています。

  以下で、トラブルを回避するための考え方、法的な問題を含めてご紹介します。
  

1 どういう場合が、ハラストメントになる可能性があるのでしょうか

 ■言葉による暴力
  人は、投げかけられる言葉によっても、傷つきます。
  受け側の感じ方によって、ハラストメントになる可能性があります

   ・偏見、差別的な用語
    例)
     成人女性に対して「女の子」と言われた。

   ・異性特有の様相、事情などを指摘、批判、恥をかかせる
    例)
     女性に下着の色を聞く

   ・噂を流す
    例)
     異性関係の噂を流す


 ■雰囲気による暴力
  人は、言葉や、行為が伴わなくても、不快、ハラストメントと感じる場合もあります。

   ・無視
   ・必要以上にじろじろと見られる
   ・職場にヌード写真を貼る(主に 男性→女性 のハラストメント)
   ・職場環境に適さない、露出度の多い服装を着てくる


 ■行為による暴力

   ・無理に付き合わせる
   ・強制的に、身体接触される
   ・暴力を振るわれる
   ・性的役割分業意識に関る言動
    例)
     結婚退職をせまられた
     女性に「お茶くみ」を強要する
   ・弱い立場を利用して条件を呑ませる
    例)
     職務的立場を利用して、性関係を拒否された相手に解雇、減給などの不利益を与える


2 特定のハラストメントについて

  2−1 セクシュアル・ハラストメント
   主に、職場で起こるハラストメントの内、性的な内容に関するものを示すようです。

   対価型
    職場において行われる性的な言動に対する女性がその労働条件につき不利益をうけるもの。
    ・性的関係を要求したが、拒否されたために女性労働者を解雇すること
    ・腰や胸に触ったところ、抵抗されたために、不利益な配置転換をすること

   環境型
    職場において行われる性的な言動により、女性労働者の就業環境が害されるもの
    ・性的な内容の噂を流布され、苦痛に感じて仕事が手につかないこと
    ・事務所内にヌードポスターが掲示されており、苦痛で業務に専念できないこと

   ※1998年3月の「職場におけるセクシュアルハラストメントの防止に関する指針」より


  2−2 パワー・ハラストメント

  2−3 アカデミック・ハラストメント

  2−4 ドクター・ハラストメント

    医師から心無い暴言や悪態などで「傷ついた!」という経験を持った方は多いのではないでしょうか。

    自分の体の調子や病気について精神的につらい患者に対して、医者は患者の心のケアをしながら、
    治療方針を立てて、患者に納得の行く説明を行い、治療活動を進めるのが本来の有るべき姿であることは
    だれもが、疑わないところでしょう。

    質の良い医療体制にするためにも、私達はもっと声を挙げて「これはドクハラです!」と発言して
    ゆくべきですし、言われないと気づかない医者が(言ってもふてくされる医者もいますが)多いと思われます。
    この様な医者こそ、カウンセリングの勉強をしていただきたいと切に思います。

    脅し型    強引に治療に従わせる

    告知型   患者やその家族を絶望に追い込む

    エゴ型    患者の治療や回復よりも病院の利益を優先する

    人間失格型 人間として許せないと思われるほど、患者の心を傷つける

    セクハラ型

    ミスマッチ型 患者の状況を理解せずにちぐはぐな言動

    同伴者批判  同伴者に向かって上記の言動


    医療現場ではサービス(接客業、コンサルタント業)という精神で働いている人よりも、専門知識を持った
    特権階級という意識で従事している人のほうがまだ多いのかもしれません。若くして先生と持ち上げられる
    環境が医師をそうさせているのかもしれないですね。

    参考: 土屋繁裕著  『ストップザドクハラ』(扶桑社刊)


3 「ハラストメントである」と判断するにはどのように考えれば良いのでしょう




4 法律はどうなっているのでしょうか

セクハラ行為の多くは、もともと存在した法律で処罰できます。
 たとえば、「だれにでも体を売る女だ」などと言いふらせば名誉毀損罪、「今夜、一緒に寝ないと仕事が
 なくなるぞ」と脅せば脅迫罪、強要罪、二人きりになるや否や無理やりキスをしたり性行為をしたりすれば
 強制わいせつ罪、強姦罪が成立します。

 むろん刑事事件としてすべてが起訴されるとはかぎりませんが、起訴されなくても不法行為と認められれば
 民事上、損害賠償させることができます。

 職場でセクハラが起こった場合には、民法により不法行為責任、使用者責任を負う事になります。
 他の法律では、男女雇用機会均等法労働者派遣法が関連していますが、おおまかな指針しか
 しめされておらず、実際は、告知(平10労告20)、指針(セクハラ指針)等にて具体的な内容を
 規定しています。


 男女雇用機会均等法は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、
 女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的として
 います。

 男女雇用機会均等法 21条
 「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮」を規定し、企業が雇用契約の
 付随義務として、職場にお いて女性従業員にセクハラが生じないよう配慮すると同時に、それが生じた
 場合には迅速・適切に対処すべき義務を定めています。  


 【指針】 平10労告20
  職場におけるセクシュアルハラストメントの内容を示し、事業主が雇用管理上配慮すべき事項を
  定めています。「職場」、「性的な言動」、「対価型セクシュアルハラストメント」「環境型〃」の定義や
  事業主の方針の明確化、周知、啓発や、相談、苦情への対応など具体的に示しています。

 女性から男性への性的な言動に起因する問題は規定されていませんので、いわゆる逆セクハラは考慮されて
 いない事になります。法律が作られた当初は、全く視野に入っていなかったのですね。

  ↑
 改正男女雇用機会均等法(H19.4.1施行)により、女性に対する差別を禁止する法律から、男女双方
 に対する差別を禁止する法律になった。

 労働者派遣法
  管理責任が派遣先事業主と派遣元事業主に課せられる


5 ハラストメントをやめて欲しい! どうすればいいのでしょうか?




最近の報道から

◆平成18年
6月16日
(労働調査会 ニュース)
今通常国会に提出されていた「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案」が6月15日、衆議院本会議で可決、成立した。

 手厚くなった?制度 参照

◆平成17年
12月13日
(朝日新聞: Asahi.com) セクハラによる心の病気、労災認定対象へ
 職場での性的嫌がらせ(セクシュアル・ハラストメント)によってうつ病などの心の病気がおきた場合に、
 労災認定しうるとの見解をまとめ、全国の労働局に通知した。
 これにより、今まで指針が出ていたものの、労働基準監督署に申請しても、受け入れられなかったケース
 が今まで多かった事に対して改善される見込みが出てきた。

 セクシュアルハラスメントによる精神障害等の業務上外の認定について
 基労補発第 1201001 号(平成 17年 12月 1日) 


参考

 均等法QA(厚生労働省)