活用! カウンセリング・マインド

 「カウンセリング」という言葉はよく聞くようになりました。
 セラピー、癒し、さまざまな言葉もありますね。
 一般的に、「カウンセリング」は人の心を扱いますから、理論と経験を十分に積んだ専門家
 でなければ、安易に行うのは危険です(人生を左右し、命に関わることもあります)。

 でも、カウンセリング技術の基礎である、相手を尊重共感的理解など、実は日常生活でも
 とても大切な事。
          これを専門家でない方でも「カウンセリングで活用する手法の一部」を活用して、より良い
          対人関係を築く事が「カウンセリング・マインドを持つ」という事です。


        職場で、家庭で、介護で、いろいろな場面で活用でき、自分自身も見つめ直すきっかけに
        なるでしょう。あなたも、活用してみませんか?



 カウンセリング 真の意味とは??

  「カウンセラーが親切丁寧に対応します」と言われた時、あなたなら、どんな想像をしますか?
  例えば、以下の様な想像をしましたか?

   @悩みを話し、相談に乗ってくれる。
   Aお店のサービスに対して文句を言うと、「すみません」、「申し訳ありません」と謝ってくれる。
   Bお肌の荒れ、髪の毛の拡大画面を見せて「これこれ、こういうケアをすれば
    良くなります」など、アドバイスしてくれる。


   これは本来の「カウンセリング」と意味が違います。

  カウンセリングは、アメリカで開発され、発達した学問であり、実践的である。
  心理学を下地とした専門分野であり、カウンセリングの目標は、心理的な問題や悩みについて
  専門的な援助をする事である。 (平木典子著、「カウンセリングの話 増補」より)

  日本では多様な使われ方をするようになり、言葉だけが一人歩きをして、混乱期にあると
  言っても良いでしょう。


   @は、お寺の説法、人生相談、友達に悩みを聞いてもらう、井戸端会議、コンサルタント、
    相談役、諮問機関など、とても広い範囲で該当しますね。対象も、個人、家庭、地域社会、
    さまざまです。でも、基本的に「相談に乗る」という箇所はカウンセリングとしては、
    あまり関わらない
部分です。

   Aは、お客様に対するクレーム処理の一部でしょうか。
    文句を言って、スカットするかもしれませんが、謝る事で癒すのはカウンセリング手法には
    無いかもしれません。この例のカウンセリングでは、不満に思った苦しさを理解する事を
    大切
にします。

   Bは、むしろコンサルタント色が強いです。
    ある分野に専門的知識や理解をもち、専門的な処方の方法を知っている人が、
    1つの疑問とか悩みについて、情報を提供したり、あるいは解決の方法を教えたり、
    また問題をどのように理解したらよいかという問題分析や診断の方法を教えたり、
    さらに診断したりすることである。
    ( コンサルタントの定義 平木典子著、「カウンセリングの話 増補」より)


 ■「カウンセラー」と、他に類似の言葉の関係はどうなってるの??

  支援するという見方は、「コーチ」、「メンター」、「カウンセラー」という言葉が該当するでしょう。
  それぞれの詳細は、専門書にお譲りするとして、機能から見たときの違いをご紹介します。
役割 活動目標 機能
コーチ パフォーマンスを改善 傾聴する
観察する
フォードバックを行う
方向性を示す
モデルとなる
メンター 組織の目指す方向に向かわせる 支援する
体験させる
保護する
友人となる
モデルとなる
カウンセラー 個人が自己洞察を深め、新たな行動をとる 傾聴する
支援する
評価する
吟味する
診断する
       ( 「キャリアカウンセリング入門 渡辺三枝子、E・Lハー 著」 より引用 )

先程も、「言葉が一人歩き」と書きました。「カウンセリング」という言葉は、正式な意が
日本に定着する前に、「話し相手」「相談」「提案」「教育」等の行為に品位や好感触を
持たせる目的で利用され、広まり、「悩みを聴き、相談に乗ってくれる事」に
関係しそうな多くの行為
が、「カウンセリング」として多くに人が認識するようになったと考えられます。

そのため、「カウンセリング」を受ける場合に、お客さんと、専門家の間に認識がずれる
場合があり、受けた後に「こんなはずでは無かった!」不満を感じる場合もあるようです。
この場合は受ける前に、どのような事をするのか、最終目的は何なのか等を十分確かめてから
行う事をお勧めします。

このような背景もあり、行政も名称をつける場合に、学問上の定義よりも、一般の人がイメージ出来る言葉を優先して決めた経緯のものもありますし、実際にカウンセラーの資格保持者が「相談員」とか
「アドバイザー」という名前で仕事をしている人たちもいます。

以下の言葉は、本来の使い方をされている事が多いので、まず、これらを整理してからいろいろな
HPや資料をご覧になると良いでしょう。

   カウンセラー   「カウンセリング」をする人
   セラピー      療法
   セラピスト     療法家

   カウンセリングも、いろいろな方法、療法があります。
   例) Aカウンセラーは、リラクゼーションにアロマセラピー(芳香療法)を採入れている。

   ※「アロマテラピー」と発音する事もありますが、これは「セラピー」と同じ言葉を指しています。

 カウンセラーは、様々な療法を使う場合もありますので、療法を使う場合は、セラピスト
 であるとも言えます。しかし、セラピストは、カウンセリングをしなければ、カウンセラーとは
 呼びません。

 また、医師の免許を持った人が、カウンセリングをすれば、「カウンセラー」と呼べますが、
 「カウンセラー」と名乗っている人が必ずしも医師の免許を持っているという
 訳ではありません。
 そのため、「カウンセラー」が診断して薬を処方する事ができるのは「医師の免許」を
 持っている人だけなのです。



 巷で使われている言葉

  〜カウンセリング 、〜カウンセラー という用語には、いろいろな背景や意味が含まれており、
 巷にはこれらの言葉が溢れています。しかし、明確な定義を併せて説明しているものが少ない
 ために、言葉の持つイメージだけで捉えると誤解が起きる場合があります。

 以下に分類してみました。必ず正しいと言えない場合もありますので、あくまでも考え方を参考
 にする程度でお願いします。

  ・カウンセリングする「手段、媒体」を名称としているもの

    1. メール・カウンセリング
    2. e−カウンセリング
    3. ネット・カウンセリング
    4. オンライン・カウンセリング
    5. Webカウンセリング
    6. 電話カウンセリング

   1,2は同じ媒体。3〜5はメールも含め、チャット、TV電話等などコンピュータを使って
   通信をする手段によるカウンセリングをする事を示しています。

  ・カウンセリングする人の背景、関係を名称としているもの

    パラ・カウンセリング  --- 本職を有する人が片手間に行うカウンセリング
    ピア・カウンセリング  --- 仲間同士で相談する者、される者の関係
    パストラル・カウンセリング- 牧会カウンセリング
    ライン・カウンセリング --- 業務上の縦の関係のカウンセリング(上司と部下など)

  ・カウンセリングの内容を端的に表しているもの(非常に多くの言葉があります)

    スクール・カウンセリング ------ 学校の児童、生徒の学校生活の支援。
    キャリア・カウンセリング ------- 就職、転職、昇進など、キャリアに関する支援。
    カップル・カウンセリング ------- 夫婦間の問題、結婚前の悩み等の支援。
    家族・カウンセリング --------- 家族に関する支援、家族療法を中心にしたもの。
    スポーツ・カウンセリング------- スポーツに特化し、メンタル、トレーニングの支援。
    離婚・カウンセリング
    不妊・カウンセリング

     ※ただし、「カウンセリングの真の意味とは」で述べたように「心理的な問題や悩み
      について専門的に支援する」定義から外れるものもあり、コンサルティング的な内容や
      情報提供を行うものまであり、トータル的な解決を目指すものが含まれます。

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<H16年>

 第一生命経済研推計 10/21発表
  働く意欲も学ぶ意欲もなく、労働市場に参入してこない若者を指すNEET(ニート)の2005年の人口を国勢調査か
  ら87.3万人と推計。2020年には120.5万人に達すると試算している。


参考(本)

 ・カウンセリングの話 増補      平木典子著
 ・キャリアカウンセリング入門     渡辺三枝子、E.L.ハー著
 ・産業カウンセリング 2004.5     社団法人 日本産業カウンセラー協会

 リンク

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